空き瓶ロマンス




寝不足も手伝って、普段なら口にしないような事まで言った。


「……昔から、女の子にラブレター貰っても、みんなお前宛てだった……」
 

実は、宗太の初恋も、そうして誰にも告げられないうちに破れたのだが、


さすがにこればかりは理性が働き、言わなかった。
 

だが、みちるは聞いた途端に、腹を抱えて笑い出した。


「笑うな!」


「ごめん、だけど……おかしくて! 


それ、小学校とか中学の話でしょ!」


「ずっとひきずってたんだよ! 


モテモテな弟を持った冴えない兄の気持ちを考えろ!」


「冴えない兄? 


それは謙遜にもほどがあるでしょ。


僕はずっと、兄さんが羨ましかったのに」


「は?」
 

宗太は絶句した。
 

それは、今までみちるが見せなかった弱味だった。