空き瓶ロマンス




「……先生知ってますかぁ? 

……最近の少女漫画って、すっごくえろっちいの多い……

少年漫画のお色気シーンなんて、目じゃないくらいやばいんですよ……」


 
いきなり何を言い出すんだこいつは。
 
しかし、修は虚ろな視線を彷徨わせ、続けた。


「……しかも『大人向けコーナー』とかじゃなく、

普通に少女漫画の棚にあるんですよ……。

見ちゃったんですよ俺は。

……それを、年端も行かないような女の子達が、きゃあきゃあ言いながら立ち読みしているのを!」
 

修は、自分で言っておきながら、目を両手で覆って、うああー! と叫んだ。
 

近所迷惑だが、酔っ払いに常識は通じない。
 

幸い、静かにしろ、と唸ると、すぐに修は大人しくなった。



「……あんなの子供のうちから読んじゃだめですよ。

あんなの真に受けたら、日本はビッチだらけになっちゃうよぅ……」


「……それは偏見だろう。

しかし問題だな……」