空き瓶ロマンス




「ゆ、勇気を振り絞って、告白しようと……

でも、面と向かって言う度胸は無くて、電話っ……かけたんです。

……そしたら……」
 
――見知らぬ定食屋のおやじが、電話に出た。
 
そして、出前ですか? と訊かれた。
 

純情なガラスの心が壊れるには、それで充分だった。


「……メールアドレスとかは普通だったのに、電話だけそれで……

嘘の番号教えるくらい俺のことうざいのかな、とか思って……でも、本人に訊くの怖くて……」
 

一世一代の大決心をした末の玉砕で、余計にダメージが重いらしい。
 

だが、信也は話を聞いているうちに、ある一つの可能性を思い付いた。


「彼女は、実家住まいなのか?」

「あ、多分……。

他の子と話してたの聞いたから、間違いないです」


「ご両親の職業は?」

「そこまでは……」


「もしかしてその定食屋……実家じゃないのか?」


「あ?」