空き瓶ロマンス




そういえば、父が地方出身で……その影響なのか、兄は普段ちょっと訛ってるけど、

キレると標準語になるんですよ、とみちるは言った。

どうでもいい事ですけどね、という呟きも付け加えて。
 
宗太が心配するのも無理もないと思ったが、信也はあえて口を挟まないでおいた。

話を聞く限り、みちるも宗太も、かなり意地になってる。

もし、やたらな言葉で諌めて、みちるが続きを話してくれなくなったら、その方が問題だった。


「兄さ……宗ちゃんには、関係無いでしょ」


「関係ないだと? 俺は、お前の事心配して言ってんだぞ」


「『心配してやってる』の間違いでしょ? 

恩着せがましく言うなよ。

いい加減、重いんだよ……!」
 



――バシッ!
 

つい、手が出てしまった、という感じだったらしい。