「嫌だ」
「……別に良いじゃん、何て呼ぼうが僕の勝手でしょ」
「勝手じゃない!」
大声で怒鳴ってから、宗太ははっとした。
みちるが、傷付いた顔をしていた。
「……それなら、もういい」
弁解する前に、みちるは部屋から出て行ってしまった。
その日、みちるは夜遅くまで帰らなかった。
数時間本屋で立ち読みをして、閉店間際に本を購入し、
その足で二十四時間営業のチェーン店に、籠っていたとの事だった。
「……寝てると怒られると思ったんで、結局二時頃まで起きてて、
眠いのに我慢出来なくなってから、家に帰りました。
そしたら、玄関で兄が上がり框のとこに、腕組みして胡坐かいて待ってて……」



