空き瓶ロマンス




その衝撃は、宗太とみちるに深い傷を付けた。

それは二人が、血の繋がりのない他人だという事も意味していたからだった。

大きな亀裂だった。

それでも、今までと変わらずやっていこう、と二人の父親は言った。

冷静になって考えてみれば、父親は全てを承知の上で隠していたわけだが、

彼だけを一方的に責める気にはなれなかった。

宗太も混乱はしたが、今更みちるを遠ざける気にはならなかった。

だが宗太にも、一つだけ引っ掛かる事があった。

みちるが、自分の事を『兄さん』と呼ぶ事だった。

俺は、お前の兄さんなんかじゃない。

ある日、宗太はみちるにそう言った。


「もう、いいだろ。

俺達……同い年なわけだし」
 

みちるは、あからさまにムッとした様子で、


「……同い年だとしても、誕生日はそっちのが早いでしょ。

日数的には、そっちが兄さんでしょ」