よくよく見るとそれは、ひどく泣き腫らした痕だった。
明るいところで見ると、目も充血しまくっている。
更に、彼がマフラーを取ると、左の口元には赤い痣があった。
考えるまでもない。
……これは、殴られた痕だ。
「……何があった」
みちるは、痕を隠さなかった。
「やられました、兄に……。
歯が当たっちゃって、口の中も切れてます」
みちるは淡々と、しかし忌々しそうに言った。
「カッとなってやったんだと思います。
まあ、最低ですよね、こういうのって。
結局、暴力だし」
顛末は、こういう事だった。
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