「いいんですか? 先生。
倫子と付き合ってるのばれたら、やばいのは先生じゃないんですか?」
「ぐっ……」
卑怯だ。このやり方は、ずるい!
しかしこの状況で、確かに弱味を握られているのは信也の方だった。
そしてみちるは躊躇なく、そのカードを切れるのだ。
この前、投げ飛ばされた事を、もう忘れているのだろうか?
「今晩、僕を匿ってください。
兄は、先生の家は知りませんから、ここなら乗り込まれる心配は無いんです」
「まったく……」
――交渉成立。
と、諦めたつもりはなかった。
信也は、適当に事情を聞いたら、何とか彼を説得して帰宅させようと思ったのだ。
だが、みちるの目元が気になった。



