「こんばんは」
そして、みちるは兄(修ではない)と喧嘩した後、倫子と会い、
しかし本音をぶちまける気になれなくなり、ここへ来たと言った。
「……ファミレスかカラオケに、一晩籠城することも一応考えたんですが、
それだといつ補導されるか分からないし、何よりそういう出費って、高校生には痛いんで」
「一晩って……まさか今日、うちに泊まる気か?」
「駄目ですか?」
「親御さんは?」
「今日は宿直なんで、父はいません」
「……そういう問題じゃなくてだな」
「兄には会いたくありません」
「心配するだろう」
「……ええ、心配するでしょうね。
今頃、あちこちに連絡しまくってるかもしれない」
「なら、余計に……!」
すると急にみちるは、ひんやりとした笑みを浮かべた。



