みちるは、あの場にいたのだ。
私が不本意にも痴漢に遭い、信也さんが怪我を負ったあの場所に……。
「別に僕は、図書館に行ったわけじゃなかった。
でも、あそこは美術館が近いよね?
僕は、たまたまそこで開かれてた個展を見に行ってたんだ。
その帰りに、騒がしいから図書館に行ってみたら、あの通り……。
近くにいた人を捕まえて訊いてみたら、
『強盗から男の人が、女の子を守った』って……。
その後すぐに、無理矢理図書館の中に入ってみたら、
本当にちらっとだけど……泣いてる倫子と、腕を押さえた先生がいた、ってわけ」
みちるはその後、大胆にも信也さんを脅迫した。



