空き瓶ロマンス

 


会う度に「どう断ろうか」と軽く相談を受けているが、何も言えない。

どうしたらいいんだろうな、と……。
 

宗太君が通っているのは、市内の商業高校。

みちるが通っているのは、市内の進学校。
 
宗太は、鳥辺野信也がどういう人間なのか知らなかった。
 
みちるが、彼と面識があることも、知らなかった。
 
そしてみちるは一か八か、信也さんに接触することを思い付いた。

「最初会った時はまだ、半信半疑だったんだけどね、親戚なのかなとか……。

向こうの父方の事情は何も知らないから、そういう可能性も否定できないでしょ? 

でも、二度目に二人を見た時、確信したんだ」


「二度目?」
 
兄が首を傾げた。

しかし、私には心当たりがあった。
 

みちるは、くすっと笑った。


「……まったく、銀行強盗が図書館に何しに行ったんだろうね」