U市の恐竜展に行った時に、私を見付けた時に。
彼は、そのまま追いかけるべきか、母の言うとおりに触れてはいけない存在なのか掴めず、
ただ微笑みを湛えたまま困惑していた。
……そうとは知らず、勝手に怒っていた私が、今では後悔したくなるほど馬鹿らしい。
「……倫子が、誰と一緒に来てるのか分かって、びっくりした。
知ってる人だったから……――鳥辺野先生……。
うちの学校の、体育の先生だったよ。
僕、体育出た事ないけど……」
もしや学校の中に私がいるのではないかと、彼はあらゆる名簿を盗み見て『鳩羽倫子』を探したが、結局見付からなかった。
しかし意外な事に、みちるの兄――斎藤宗太君のバイト先に、『鳩羽倫子』がいた。
ある日、彼がふとバイト中に起こった事をみちるに話したのがきっかけだった。
客からのプロポーズを受け、そのまま付き合い始めた子がいると。



