空き瓶ロマンス




その事実を彼が知ったのは、高校に上がってすぐのこと。
 

母のガンが、発覚してからだった。


「……病気が分かってから、まるで人が変わったように大人しく、良い人っぽくなっちゃったけどさ、

……母はね、かなりきっつい性格してたんだ。

それなりに家事はするけど、わがままも言う。

マイルール=家庭のルール。


自分の事を棚に上げるのが何より得意で……我が母ながら、とんでもない人間だったと、今では思うよ……」
 


病床で、その告白をされた時。
 
みちるは、自分の中に感じていたズレの正体を知った。
 

子供の頃から、さほど努力をしなくても、結果が勝手についてきたこと。
 

周りの子とは違う何か。
 

顔の似ていない兄と父。


――疎外感。