空き瓶ロマンス




――母が再婚した時、その家に子供は二人いた。

一人は、再婚相手の子。

もう一人は、母の連れて行った子……。
 

驚いた表情で固まった斉藤君の隣にいたのは、同じく制服を着た、どこか見覚えのある男の子だった。
 

彼は泣き腫らした顔の斉藤君とは対照的に、生気の感じられない白い顔をして、私を見て静かに微笑んだ。
 


来てくれたんだね。
 


唇が、そう動く。
 
途端に、全身の細胞が騒ぎ出したように、体がかっと熱くなった。


私は知っていた。
 

間違いなかった。
 
 
どうして前に一度会った時に、気付かなかったのだろう。


彼は……『斉藤みちる』は正真正銘、血を分けた私の『弟』だった。