瀬尾先生は、妊婦のジェスチャーをした。 だが、それだけでは事情がよく分からなかったので、 断ろうと思ったのだが、 「予定日が、この付近なんですよ。 勿論、それまでに生まれちゃえば俺が行くんですけど、 土曜までに生まれなければ、 ……一度目の子が駄目になっちゃったんで、 出来れば妻に付いていたくて……」 「分かりました。お受けします」 即答していた。 自分でも驚くほど、早く。 しかし、大切な人が一番心細い時に一緒にいてやれないのは、 一番酷な事だと、彼は知っていた。