いっそ、逃げる倫子を押さえ付けてでも、 きちんと話し合った方がいいのだろうか。 どんなに睨まれても、 たとえ殴り合いの喧嘩に発展したとしても。 父の事情を全てを打ち明ければ、 もしかしたら分かり合えるかもしれないから。 修は、倫子がキッチンに水を飲みに来たところを狙って、 そっと近寄ってみた。 「なあ、倫子……」 返事は無かったが、続けた。