空き瓶ロマンス

「まったく…
…どんだけ働かせる気かって話ですよーっ」


パン用のトングを拭きながら、
友香さんがムキーっと喚いた。 


同時に斎藤君が、テーブルの上にラックを落とすように置き、
カウンターの奥に引っ込んだ。


「ううー……もう」


「まあまあ、あたしなんか最悪よ?

この前、引っ越し業者のバイト入ったんだけど、
オーブンレンジって、すっごく重いんだから……!」





アイススプーンを拭く成美さんが、
むくれる友香さんを横から宥めた。