彼は真剣な表情で、百科事典ほど分厚い本に目を通していた。 時々、何かを呟くように唇が動く。 幸い、こちらには気付いていなかったので、私は歩調を速めて通り過ぎた。 ていうかこんな偶然、本当に勘弁して欲しい。 だが、このまま帰ってしまうというのも負けた気がして嫌だったので、 私は誰も見なかった事にした。