「ああ……」 兄がさらりと言ったお陰で、あまり危機感が感じられなかったが、 「大丈夫だよ。そんなのいないって」 「でも気を付けろよ」 「はいはい」 ――その時は、まさか自分がそんなものに遭うとは、 夢にも思っていなかった。