声がけをすると、その客はぱっと話を止め、 料理を置く為のスペースを空けてくれた。 前髪をセンター分けにしている男性だった。 「すいません、これ何?」 にっこりと笑いながら、唐突に質問された。 本来は料理名を言うべきだったのだが、うっかり忘れていた。 「失礼致しました、魚介のマリネときのこの盛り合わせでございます」 「へぇ~これ、きのこなんだ~ありがと!」