披露宴が始まると、さっきの男性がホールに戻って来た。 そして、席に着く。 (……げっ) 思った通り――彼は、私の担当卓の客だった。 参ったな。 だが、乾杯の合図のすぐ後にオードブルを出す指示が出たので、 仕方なく料理を運んだ。 ただし、彼のいない方の卓を先に。 「失礼致します」