兄は、顔を引き攣らせて私を見た。 「え、倫子。 もしかして、いきなりプロポーズしてきたのって、この人……?」 「そうだよ」 私が目線を逸らすと、鳥辺野さんはわざとらしく咳払いをして、 「とりあえず、出発しないか? 話はそれからでもいいだろう」