――教室に着くと、前の席の彼はもう来ていた。 机に腕をのせて、その上に頭をのせて寝ている。 そんな彼を、遠くから密かに騒いでいる女子たち。 彼は騒がれるのが嫌いなんだもんね。 モテる、っていうのも大変だったりするのかな。 なーんて思ったり。 …まぁ、あたしには分かんない気持ちなんだけど。 開いている窓から風が吹いて、宮地葵の髪が揺れる。 あたしは、溜息を1つ零した。