先輩に一直線。

「じゃ、俺は行くけど、またあんな奴に会ったら走って逃げろよ。お前、陸上部だろ。」
「はい。了解です。」
私は敬礼のポーズをした。
それからにこっと笑った。

本郷先輩は片手を挙げてあっけなく背中を向けて帰ってしまう。
えっ、これで終わり??
もう終わり??

せっかく偶然会ったっていうのに、本当にこれで終わりなの・・・?


「やっぱり心配だから、家まで送る。」

くるっとこっちを振り向いた先輩は、少しだけ、ほんの少しだけ照れくさそうに目をそらしながら言った。そんなちょっと照れたような先輩も、やっぱり信じられなくかっこよかった。

それより・・・


嘘でしょ!?
やった!先輩が家までついてきてくれるんだ・・・。
やばい、顔がにやけちゃうよ・・・。

「ありがとうございます!」
私は、うれしくて、うれしくて、顔を真っ赤に染めた。
本郷先輩は、やっぱりそっけなくて無言で前を向いてしまった。
私は、その本郷先輩の背中を走って追いかけた。