神崎陽菜。

今年、高校デビューしたばかりの十五歳。


「だーかーら」


いつものように終礼が終わると、

後ろの席から聞こえてきたのは聞きなれた声。


苛々して頭を掻きながら怒っているのは

高校に入って初めて出来た友達、井田愛梨だった。


「悪かったって言ってんだろ?」

「それ、前も聞いたから。うざい」

「…ッち、何だよ」


愛梨と話していたのは、如何にもチャラい感じの男。

男が怒りながら教室を出て行くと、

振り向いた愛梨は私と目が合った。


「また喧嘩ー?」

「陽菜ぁ……だって、アイツ浮気したんだよ?」

「あれ?この前はあの人じゃなかったよね」

「うん。和とはー、一週間前に別れて。真田君とは一カ月前に別れた」


惚れっぽい愛梨は、本人が言うに男運がないらしい。

見た目が茶髪に派手めのフルメイク、露出高めな服だから

言い寄ってくる男は皆、大体が体目的なんだそうだ。


大半の女子に避けられてるみたいだけど……

「陽菜と優里が居ればいいんだ」って言って笑う愛梨は可愛かった。