蒲公英

「あれ?稀沙は?」

「え?さっきまでいたよね?」

「酒でも取りに行ったんじゃねーの」




広いホールを見渡す。

長身で目立つ稀沙の姿はやはり見えない。






もう少し待っても戻ってこないようだったら探しに行こうかな、なんて考えながら酒に手を伸ばしたときだった。






「湧己」






背後からタイミングよく稀沙の声がした。

何気なく振り返った僕。






そこには…、信じられないものがあった。






「うそ…」

「なん、で」






僕らの酔いを一瞬で吹き飛ばすような。

誰も予想できなかった奇跡が…。






「湧己。わかるよね?」