「ひろ君と遠くに出掛けるって初めてだね」


「そうだな」


私がシートベルトをしたところを見ると、ひろ君は車を発進させた。


「春菜、疲れたら言ってな。休憩しながら行くけど」


「私は座ってるだけだから、大丈夫だよ。ひろ君こそ、車の運転させてごめんね」


「俺が春菜と出掛けたいって思っただけだから。車の運転くらい大丈夫だよ」


ちょっとだけ前から視線を外して私の方を見て笑顔を見せるひろ君。


「私も車の免許取ろうかな」


「春菜が?」


「ダメかな?でもこれから必要になる気がするし」


仕事を始めたら、車で病院に通った方が便利かもしれない。


でも免許取るために、自動車学校に通う余裕あるかな?


これからまた、看護師の国家試験の勉強に力を入れなきゃいけないし。


「ねえ、ひろ君」


「ん?」