「春菜。誰もそんなことは言ってないだろ」


お父さんの声が、私に飛ぶ。


「春菜。みんな春菜の体が心配なんだ。分かるよな?」


ひろ君の優しい目が、私の顔を覗き込んでくる。


「体、体って・・・私の気持ちはどうなるの?私の意志は?もう私、何にも決められない子供じゃない」


もう私は、子供じゃない。


自分のことを決めるくらい、自分で出来る。


「私、この仕事します。もう誰も何も言わないで」


「春菜!どうしてそんな勝手なこと」


「勝手じゃないよ、お母さん。夢が叶おうとしてるのに、どうして迷わなきゃいけないの?」


「どうしてって・・・それはあなたの体のことが・・・」


「じゃあ、どうしてもっと丈夫な子に生んでくれなかったの?そしたら、こんな風にはならなかった!」


私を見つめていたお母さんの目が、一瞬揺らぐ。


「ごめんね、春菜」


「私・・・」