「春菜、もう一回海入ろ?」


「いいけど、沙希ちゃんかき氷食べ終わったの?」


「ううん。拓ちゃんにあげる」


沙希ちゃんはニッコリと笑って、拓海さんにかき氷の入ったカップを差し出した。


「まったく。しょうがない奴」


拓海さんは嫌そうな顔をしながらもカップを受け取って、いってこいと沙希ちゃんの背中を押した。


「春菜、行こ」


「うん。ひろ君、ちょっとだけ行ってくるね」


沙希ちゃんに手を引かれて立ち上がる。


「ほどほどに」


「うん」


その後、私と沙希ちゃんは存分に海で遊んで、帰りの車に乗った。


「春菜、眠って」


疲れからか、車に乗ってすぐウトウトし始めた私の頭を、ひろ君がそっと肩に凭れさせてくれた。


ひろ君との思い出がひとつ、私の中に増えました。