「私は、ひろ君に迷惑ばかりかけてるから」


岩に手をつきながら、プカプカと海に浮かぶ。


「ひろ君優しいから、何にも言わないけど。きっと私のこと、迷惑だって思ったことあるはずだよ」


「それはないと思うけどな~」


「沙希ちゃん」


沙希ちゃんがニッコリ笑いながら、私に近づいてくる。


「だいたい、迷惑だと思ったらとっくの昔に縁切ってるよ。幼なじみで年が離れてる。そう考えたら、ちょっとしたすれ違いで、もしかしたら今二人は顔合わせてない可能性あるし」


「そうかな?」


「そうだよ。それにね、春菜」


「ん?」


沙希ちゃんが海から上がる。


その瞬間、沙希ちゃんの体についてる水が、太陽の光に反射してキラッと光った。


岩に腰を下ろした沙希ちゃんの隣に、私も座る。


「私、思ったんだけどね」


「うん」