「疲れたらすぐ戻ってくること」


「うん!」


パーカーを脱いで、ひろ君に預ける。


「沙希、あんまりはしゃぐなよ」


「分かってるよ」


沙希ちゃんが拓海さんの言葉に頬を膨らます。


「行こう、春菜」


沙希ちゃんに手を引かれるように、海に向かった。


「もー拓ちゃんってば、いつまでも私を子供扱いするんだから」


パチャパチャと音を立てながら、海に足を踏み入れる。


「でも、拓海さんだって、沙希ちゃんのことが心配なんじゃないの?」


海の水は程よく冷たく、暑い皮膚を冷やしていく。


「私はもう、発作起こしてた子供じゃないのに」


沙希ちゃんは小さいころ、喘息を持っていたそうだ。


小さいころは喘息の発作を起こすたびに入退院を繰り返していて、そこで出会った看護師さんが優しい人で、それで沙希ちゃんは看護師を目指すようになったって、前に教えてもらった。