「う・・・ん」


「あっ、春菜ちゃん。目、覚めた?」


「菅野さん?」


パチパチと何度か瞬きをすると、視界がクリアになる。


「ここ、病室?」


「うん。どう?呼吸苦しくない?」


「大丈夫」


菅野さんが点滴の様子を見ながら、私に聞いた。


菅野さんはこの病院の看護師さんで、怜香先生と同じように小さいころから私のことを見てきてくれた。


ベテラン看護師さんで、ちょっとだけぷっくりした体格が特徴。


すごく優しくて、私の憧れの人。


「怜香先生、呼んでくるね」


ニッコリと笑顔を向けると、菅野さんは病室を出ていった。


ああ私、咳で呼吸が苦しくなって、そのまま意識を失ったんだ。


自分がどうしてこうなったか思い出してると、パタパタといくつかの足音が病室に入ってきた。