「春菜~そんなの着てたら海に入れないよ~」


沙希ちゃんが拓海さんの腕をブラブラ揺らしながら、私にちょっと不満げな声をかけてくる。


「そうだけど。私、すぐ肌が赤くなっちゃうから」


「そうなんだ」


「とりあえず、シートでも敷いとく?」


拓海さんの声に、ひろ君がうなずく。


一回海から離れて、砂浜の上にビニールシートを敷く。


「ねえ、拓ちゃん」


「ん?」


シートに腰を下ろした拓海さんに、沙希ちゃんがひっつくように隣に座る。


「あとで、かき氷食べたい!」


「まったく。いつまでたっても色気より食い気だな」


「拓ちゃん、ヒドイ」


苦笑いしながらも、拓海さんは沙希ちゃんの頭をなでた。


そんな二人の様子を見て、私とひろ君は思わず笑顔をこぼしてしまった。