「早く、春菜に会いたい」


「そうね。私も早く春菜ちゃんの声が聞きたいわ」


それから怜香先生は春菜の様子を見て、仕事に戻って行った。


「春菜」


そっとキスを落とす。


「起きるわけないか・・・」


昔々の物語、お姫様は王子様のキスで目を覚ました。


でも現実はそんなことなくて、春菜はずっと眠ったまま。


「また明日来るな」


春菜の頭をなでて、病室を出た。


そのまま春樹のもとへ向かった。


「春樹・・・」


看護師さんにお願いして、抱かせてもらう。


「早く、お母さんに会いたいよな」


その呼びかけに答えるように、春樹は小さく声を上げた。