「はぁ」


病室から出て、廊下の長椅子に座る。


「大丈夫?」


「怜香先生」


ポンと肩を叩かれて顔を上げると、怜香先生が俺に向かって優しく微笑んでいた。


怜香先生は毎日、春菜の様子を見に来てくれる。


「春菜は、大丈夫なんでしょうか?」


いつ目覚めるか分からない春菜。


毎日毎日、不安で押しつぶされそうになってる。


「はっきりしたことは言えない。でも、呼吸も自分でしてるし、きっともうすぐ目を覚ますわ」


「そうですよね」


「だから、ちゃんと声かけしてあげてね」


「それは大丈夫です。春菜には、誰かしら見舞いが来てますから」


毎日俺も顔を出すし、俺たちの両親も毎日顔を出してる。


沙希ちゃんも仕事帰りに寄ってくれてる。