「まだかしらね」


お義母さんが小さく呟く。


分娩室の外で、春菜の両親、俺の両親と赤ちゃんが生まれるのを待つ。


さっき連絡したら、仕事を切り上げてここに来てくれた。


どれくらい待っていたんだろう。


急に聞こえた赤ちゃんの泣き声に、みんなで顔を見合わせた。


「生まれたんだ!」


喜びが込み上げてくる。


でもそれと同時に、分娩室への看護師さんの出入りが激しくなった。


「なにかあったのかしら?」


みんなの顔が急に曇る。


「あの、大石春菜さんのご家族の方ですよね」


「はい」


「春菜さんと同じ血液型の方はいますか?」


看護師さんに説明を受けた俺たちは、みんな言葉を失った。