「おぎゃーおぎゃー」


その瞬間、分娩室中に元気な赤ちゃんの泣き声が響いた。


「おめでとう。元気な男の子だよ」


看護師さんが私の顔辺りに赤ちゃんを連れて来てくれる。


「かわいい」


元気に生まれてきてくれた私たちの赤ちゃん。


触れたくて手を伸ばそうとしたけど、体が鉛のように重くて動かない。


どうして?


抱きしめてあげたいのに。


だんだん目の前が真っ暗になる。


「早く輸血!」


急に周りが騒がしくなる。


でもその音も、しだいに聞こえなくなっていった。


暗い暗い闇に、だんだん引き込まれる。


赤ちゃんに触れることなく、私はそのまま意識を失った。