「うーん。確かに陣痛来てるけど、生まれるのはまだ先かな」


病院に着いて、前田先生に診てもらう。


「ひろ君、仕事行ってもいいよ」


「でも、いつ生まれるか分からないし・・・」


ひろ君が心配そうな顔をして私を見る。


「先生、まだ生まれない?」


「そうだね。今陣痛治まっちゃったし」


「ねっ。まだ時間かかりそうだし」


「分かった。仕事行ってくるな」


ひろ君が私の頭をなでる。


「ねえ、ひろ君」


「ん?」


「ケータイ、電源入れておいてね。分娩室に入る前、ひろ君に会いたい」


「分かった。連絡来たら、すぐに来るよ」


「うん」