「あっそうだ、春菜」


「なに?」


教室に入り、鞄から教科書を出す手を止めずに、沙希ちゃんが私に話しかけた。


私も鞄から教科書を取り出しつつ、沙希ちゃんの言葉に耳を傾ける。


「この前就職情報見てたらさ、M大付属病院の小児科の看護師募集してて」


ハッと手が止まる。


その病院って、私がいつも行く病院。


「私それ受けてみようと思って」


「そっか。沙希ちゃんなら受かると思う」


沙希ちゃんはニッコリ笑うと、でねっと話を続けた。


「春菜も小児科希望でしょ?一緒に受けない?」


「えっ?」


咄嗟のことで、言葉が出て来なかった。


確かに私も小児科希望、しかもそれがいつも行く病院なら余計に。


でもこの前、怜香先生に言われた言葉が頭を離れない。