ほんの少しの時間しか、私の夢は叶わなかった。


「春菜は頑張ったよ」


ひろ君が優しく頭をなでてくれる。


「いーっぱい頑張った」


「うん」


「だから、少し休もう。少しのんびりしよう」


「うん」


いつまでも泣き続ける私を、ひろ君はずっと抱きしめてくれてた。


「そうだ、春菜」


「ん?」


私が泣き止んだころ、ひろ君がそっと私に話しかけてきた。


「これからどうしようか?」


「これから?」


「うん。これから」


「ひろ君が会社行くの見送って、部屋の掃除して洗濯して料理して、ひろ君が帰ってくるの待ってる」