カタンという音に、ソファーの前に置いてあるテーブルに目を向ける。


「さっき買ってきたケーキ、食べる?」


「うん」


ソファーを下りて、カーペットの敷いてある床にペタンと座る。


テーブルの上には、小さめのショートケーキとマグカップに入った温かいカフェオレ。


「おいしい」


甘い甘いケーキにカフェオレ。


「春菜?」


「ごめんなさい」


「謝らなくていいんだよ」


急に泣き出した私を、ひろ君が抱きしめてくれる。


「私、辞めたくなかったの」


「うん」


「仕事、大好きで。でも・・・」


「うん」