「ん?」


「ごめんなさい」


「春菜は、俺に謝らないといけないことしたの?」


ひろ君が私の頭をゆっくりなでる。


「いっぱい、迷惑かけてるから」


あの更衣室から聞こえたように、ひろ君も同じこと思ってたらどうしよう。


一緒に暮さなきゃよかったって思ってたらどうしよう。


「ごめんなさい」


零れる涙を見られたくなくて、布団の中に潜り込む。


「俺は、春菜のこと一度も迷惑だなんて思ったことないよ。もしそう思ってたら、春菜に好きなんて言わないし、こうやって一緒に住んでない」


頭から降ってくる声がいつも以上に優しくて、余計に涙が溢れてくる。


「ほら、春菜。布団の中に入ってたら息しづらいから、出てきて?」


ひろ君が布団をずらす。


「泣かなくていいから」


「うん」