「春菜、食欲ない?」


「うん」


お箸を置いたとたん、こほっこほっと咳が出てしまう。


あれから何とか仕事をこなし、今はひろ君と夕ご飯の時間。


でも仕事の疲れか、全く食事に手が伸びないでいた。


「こほこほ、こほこほ」


止まらない咳に、私の前に座っていたひろ君が慌てて近づいてきて背中をさすってくれる。


「ゆっくりでいいから、飲んで」


やっと咳が止まった私に、ひろ君がコップに入ったお茶を差し出してくれた。


「もう今日は寝ような」


「うん」


ベッドに入って、熱を測る。


「7度5分か」


ひろ君が体温計を見て、ホッと息を吐いた。


「ひろ君」