朝はあまり食べられないけど、ちゃんと食べないと仕事にならないから少しでも胃に収める。


「ごちそうさま。おいしかったよ、ひろ君」


「ありがとう」


今度は私が片付けをして、二人で家を出た。


「シートベルトした?」


「うん」


私が勤めてる病院まで歩いて10分という距離なのに、ひろ君は病院まで送って行ってくれる。


ひろ君が勤めてる銀行は病院を通り過ぎたところにあるから、ついでだよ、と言ってくれるんだけどね。


「ひろ君、いつもごめんね」


「俺が好きでやってるんだから、気にしなくていいよ」


そう言って私の頭をなでて、車を発進させた。


歩いて10分だから、車で行くとすぐに病院に着いちゃう。


「いってらっしゃい、春菜」


「いってきます。ひろ君もいってらっしゃい」


手を振って、車が見えなくなるまで見送った。