「ちょっとだけ」


そう答えると、ひろ君は手を伸ばして後ろのトランクから膝掛を取り出す。


クリーム色のふわふわした生地にピンクの水玉がついた膝掛は、私がこうやって熱を出したりしたときに車の中で体にかけられるようにと、常にひろ君の車の中に用意されている。


それをそっとかけてくれる。


「おやすみ、春菜」


ポンポンと私の頭をなでて、ひろ君は車のドアを閉めた。


次に目が覚めたのは、自分の部屋のベッドの中。


頭の下には、氷枕が敷いてある。


しばらくすると、静かに部屋のドアが開いた。


「目、覚めた?」


「ひろ君・・・」


2リットルのペットボトルとコップを抱え、部屋に入ってくるひろ君。


「ごめんね、ひろ君。仕事、途中だったでしょ?」


「有り余ってる有給使っただけ。春菜は気にしなくていいよ」


「でも・・・」