「惨殺事件の犯人と疑われる四人について、昨日まで零の四人で各自見張っていましたが、感づかれたのか動きがぱたりと止まったため、今日の夜から私と烝の見張りを解いて泳がせることにしました。」

そんな中、見回りとして町を歩いている時、自分の後ろにずっと小さな気配を感じていたと、優希は話した。

「優希、気配に敏感だもんね。」
「あぁ、山崎の気配にあんなにすぐ反応できるのはこいつくれぇだろうよ。」

原田の言葉に、皆そろって頷いた。
それから、優希は山崎に沖田たちを呼びに行ってもらい、自分はその忍を誘き出した事、取調べをする前に自害された事、そして今、山崎がその遺体を見張っていることなどを話した。

「お前が襲われたって事は、相手は気づいてやがったって事か。」
「おそらく、そうだと思います。今回のことで、近いうちにまた何か起こると思うんですけど・・・。」

しばらく考え込んだ土方は、隊長達を見回して指示を出した。

「とりあえず、零番隊は今まで通り、優希、お前が動かせ。任せる。」
「はい。」
「それから、永倉、優希がまた襲われないとも限らない。零の見回りの時、優希に付いてくれ。」
「あぁ、分かった。」
「優希、一番怪しいとにらんでるやつは誰だ?」

土方の問いに、少し考えた優希が答えた。

「藤野と、大杉が見張っている二人、ですかね。まだ、どちらとは言い切れませんが・・・。」

思案顔のまま、考えるように答えた優希を見て、土方が指示を出す。

「総司、藤堂と明日の巡回の時、隊長二人で組んで、いつもと経路を変えろ。
 なるべく子供が多くいるところを中心に回れ。」
「はい。」
「了解。」
「それから原田、悪ぃが、明日は永倉を優希につける。二番隊も面倒を見てくれ。」
「はいよ。」
「いい加減、決着つけようじゃねぇか。」

土方の言葉に、各隊長が小さく頷いた。
その様子を見た優希は、心の奥に、暖かな何かが流れるのを感じていた。