誠に生きた少女


「土方さん、失礼します。」

一声かけると、中から、入れ。と声がかかった。
それに応じて、障子を開けると、中には土方のほかに、近藤、藤堂、そして永倉の姿があった。

「遅かったな。で、どうだ?」
「その前に、これはいったい・・・。」

こんなにも、人がいる中で、特任務の詳細を土方が尋ねるのは可笑しかった。
戸惑いを隠せない優希に、近藤が優しく答えた。

「皆、お前の顔があまりにも見えないから、仕事が手に付かないそうだ。」
「・・・・・・へ?」

予想外の言葉に、優希は間抜けな返事を返してしまった。
そんな優希に、藤堂がまず声を挙げた。

「あ!!優希、お前何顔に傷作ってんだよ!」
「あ・・・こ、これはかすり傷で・・・」
「お前、女だろうが。ちょっとは気にしろ。」
「・・・す、すみません。」

永倉に静かに注意され、優希は何も言えなくなる。
そんなやり取りを見ていた土方が、優希に事の始まりを話し出した。

「こんなに特任務に時間がかかったのは、久しぶりだからな。
 ただでさえ、自分で抱え込むお前が、何日も顔を見ないほどに働いてるとなると、
 こいつら皆、気が気じゃねぇって俺のところに毎日来やがる。」
「毎日・・・」
「今何してるだの、危険じゃねぇのかだの、特任務だと突っ返しても懲りやしねぇ。」

土方がため息をつく横で、近藤が笑った。

「だからな、歳に話をしたんだ。せめて、何をしているかだけでも教えてやれとな。」

近藤の言葉に、優希は慌てて反論した。

「駄目です。それでは上からの話と・・・」
「優希、大丈夫だ。」

慌てる優希に、近藤が話を続ける。