屯所に戻ると、優希は真っ直ぐに土方の部屋に向かった。
先ほどの襲撃の報告と、現在の状況を報告するためだ。
「・・・あの、部屋に戻らないんですか?」
優希の遠慮がちな指摘に、笑顔も見せずに後を突いてきた原田が答えた。
「土方さんとこ行くんだろ?俺らも行くぜ。話聞かせろ。」
「でも・・・えっと、特任務なんで・・・。」
優希の言葉にも、原田は引き下がろうとしない。
沖田にいたっては、にこにこと微笑みながら、さも当たり前のように優希の前を歩き出した。
「あの、二人とも・・・」
「優希。」
何度目かの優希の言葉を遮って、沖田が声をかけた。
「いい加減さ、意地を張るのやめなよ。」
「・・・え?」
言葉を詰まらせる優希に、沖田が続けた。
「特任務なのは知っているよ。でも、だからと言って、仲間を頼ることがいけない訳じゃない。」
それに、見てよ。と、沖田が指をさしたのは、数十歩先に見える土方の部屋。
その障子に映された人の陰は、明らかに一人分ではなかった。
「きっと、僕達だけじゃないから。」
沖田に促され、優希は土方の部屋の前に足を進めた。

