誠に生きた少女


優希を襲った忍の遺体は、苦無の刺さった木に寄りかかった状態で置いておく事にした。

「烝、戻って来てるね。」

優希の言葉に、沖田と原田が辺りを見回すと、三人の前に山崎が膝を付いた。

「隊長、お怪我は?」
「かすり傷だから、大丈夫。それより、彼を見張ってて。」

他隊の隊長を前に、畏まった山崎の言葉に少し寂しさを感じながら、優希は指示を出した。

「私を殺すのを失敗したんだもの。きっと彼を回収に来るから。
 仲間でもいい、何とか付いて犯人を突き止めて。」
「はい。皆さんは?」
「私達は、屯所にいったん戻るから。」

優希の言葉に、沖田と原田も頷いた。
原田が山崎に思い出したように問いかけた。

「そういや、俺ら以外の巡回は終わったのか?」
「あ、すっぽかしちゃいましたね。」

原田の言葉に、沖田も元の仕事を思い出した。

「彼らは、すでに屯所に戻っております。勝手に指示してしまいました。」
「そっか、助かったよ。山崎君。」

沖田に言われて、山崎は小さく頭を下げると自分の上司に視線を向けた。

「では、ここは任せて下さい。」
「うん、お願い。左之さん、総司、屯所に戻ろう。」

優希の言葉に、山崎をその場に残して三人は屯所へ向かった。