「どうして?・・・また私は・・・」
「優希。しっかりして。」
原田に抱えられ、力をなくした忍を見て、優希は呆然としていた。
「優希、しっかりしろ。こいつはお前の命を狙ってたんだ。こいつが死ななきゃ、おめぇが死んでたかもしれねぇ。こんなことで心を痛めるんじゃねぇ。」
原田の言葉に、優希は小さく頷く。
でも、心が戻ってきてはいなかった。
「優希。彼は自分の意思で命を絶った。優希が奪った訳じゃない。」
沖田の言葉は、優希には届いていなかった。
「私・・・私また・・・」
がくがくと震えだす優希の目から、涙がこぼれていた。
「また・・・あの時と同じ・・・」
「優希!!しっかりして!!ちゃんと見るんだ!!」
沖田の怒鳴り声に、優希がはっと顔を上げた。
「あ・・・。私・・・」
「取り乱さないで。彼は仲間じゃない。敵だ。」
「そう・・・だったね。・・・ごめん。」
震える体を抑えながら、それでも優希は立ち上がった。
「ごめんね、左之さん。総司。ちょっと思い出しちゃって・・・でも、もう大丈夫。」
そういって、原田が抱える忍の前に膝をつくと、小さく手を合わせた。
「どうか、安らかに・・・。」
そんな優希の姿を、沖田と原田は悲しそうに見つめていた。
彼女の過去を知る彼らは、まだその闇が彼女の心を無蝕んでいることを、見せ付けられた気がした。

